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過去記事

平成30年北海道胆振東部地震で身をもって体験したこと(その3)

投稿日:2018年9月17日 更新日:

こんにちは、ゴヨウです。

2018年9月6日3時8分、胆振東部を震源とする最大震度7を記録し、日本国内初のブラックアウトを引き起こした「北海道胆振東部地震」が発生しました。

そのとき、札幌で経験した被災状況を振り返ることで、少しでも今後の防災に役立ててもらえればと思っています。

この記事で多分完結となると思いますが、地震発生から1日経とうとしているところから始まります。

震災後、1日過ごしてみて

日中、家に居る間はテレビがラジオに変わっただけで、一見変化が無いように見えています。

しかし、母親のケータイはガラケーのためUSB充電が出来ずバッテリー切れ。
固定電話の子機も充電できずバッテリー切れ。
親機は通電していないため、通常の着信音ではない音が鳴っているため、しばらく気づきませんでした。

この間、道外の親戚や知人から何度か電話があったようですが、普段と違う着信音だったため、数回スルーしてしまいました。

そして気づいたのは、固定電話(アナログ回線)は、通電していなくても着信や通話が可能ということでした。

光電話の親戚は電話も出来なかったそうなので、震災の時などはアナログが役に立つということかもしれませんね。

この日は、自転車で走り回ったり、色々と動き回っていたので、少し疲れて1時間ほど仮眠を取り、一眠りして目を覚ますと妹が帰宅していました。

妹はタクシー関係の仕事で、震災のあった朝も信号機が全面消灯している中、車で出勤していました。
唯一、タクシーだけがこの時も稼動している公共交通機関であったため、普段より忙しかったと聞いています。

日が暮れて部屋が真っ暗になる前に、晩御飯を摂りました。

日中は部屋の明かりは必要なかったのですが、徐々に日も暮れてゆき、部屋の電気が必要になってきます。

母は何か予感がしていたのか、地震の2週間くらい前からしきりに懐中電灯を気にしていたため、大きい懐中電灯の乾電池だけは補充してあありました。
それを室内照明の代わりに天井から吊るしてみました。

その他にもいくつか懐中電灯があったので、朝早くにドラッグストアで補充した乾電池を入れて、トイレに移動する時に足元や手元を照らす用に用意しました。

以前、懐中電灯を上に向け、水を入れたペットボトルを乗せるとランタンのように明るくなるとのことで、暗がりで工作を始めます。

手持ちの懐中電灯なので、上に向けて置くということがとても難しくコップなどに入れて立てかけてみましたが、その上に水の入った重さのあるペットボトルを乗せると重心が上になるため、より安定しなくなり、どうやっても自立させることが出来ず、暗がりの工作は断念しました。

この日は、暗がりで何もすることが無く、何度も外の様子を見に外に出てみますが、街灯も信号も住宅の明かりも無く、外は闇に包まれていました。

時折、ヘッドライトを点けた車が通る度に、その明るさに目がくらむほどです。

しかし、しばらくするとその暗闇にも目が慣れてきて、ふと空を見上げると、普段の札幌市内ではまずお目にかかれないくらい、満天の星空が広がっていました。

この日の星空には、北斗七星が北の空に正位置で鎮座し、南の空にはペガスス座が広がっていました。
また、夜空を賑わす惑星たちも一際輝きを放っていました。

さすがに天体望遠鏡を広げて本格的な天体観測は気が引けたので、他にすることもなく、この日は早めに床につきました。

震災から一夜明けて

引き続き、ラジオからは地震のニュースが流れ続けていました。
早いところでは、この日にも電気が復旧するとの話でした。

地下鉄東西線は午後にも運転を再開との声も聞こえてきました。
他の路線も早ければ今日中に再開とのこと。

この日も仕事は自宅待機となったので、朝から近隣周辺を自転車で巡回してみます。

今日はまだ確認していなかったスーパーやコンビニの復旧状況、避難場所の確認をしてみました。
地震発生から1週間くらいは大きな余震の可能性があるとのことでしたので、特に避難所は確認しておく必要があると考えていました。

住んでいるアパートが築年数も経っており、高齢の母がいるため、万が一の時には避難所へ駆け込む腹づもりでした。

理由は、
・電気の復旧は避難所が優先される
・断水時も給水が受けられる
・食料の配給も受けられる
・建物が頑丈
・他の人たちの目があるので、母に何かあっても助けてもらえる
・テレビやラジオなどの情報が集まりやすい

等々のメリットが考えられたからです。

こちらが神経質で考え過ぎかなと拍子抜けしてしまうくらいに、「ハハノンキ」です。

巡回してみると、前日オープンしていたコンビニも商品が無くなったため閉店していたり、スーパーは、開店時間未定にもかかわらず大勢の客が行列を作っていました。

発電機を用意している企業や店舗はかろうじて動いていましたが、中には車のバッテリーをつないでレジを動かして営業しているコンビニもありました。

停電、交通マヒのため、物流がストップしているため、お店の営業中止も時間の問題でした。

その後も巡回していると、行列も無くオープンしているスーパーを見つけました。
いったん自宅に戻り、母を連れ出し、そのスーパーに行ってみました。

駐車場も空いており、店内にもスムーズに入れました。
行列を作っていた他のスーパーと比べると完全に穴場でした。

冷凍食品、アイス類は全滅、魚介類も全滅していました。
かろうじて肉類は少ないですが並んでいました。
パン類は売り切れ、カップ麺や飲料水は1家族単位で数量制限がかけられていました。

自宅ではガスが使えたのでカップ麺を制限数量いっぱいまで購入しました。

惣菜コーナーも数は少ないですが、順次調理したものが出てきていました。
しかし、出てきたそばからお客さんが手にとって行くので、補充が追いつかない印象でした。

ちょうど惣菜コーナーを見ていたときに、コロッケが出てきていたので、すぐに家族の人数分確保して購入しました。

また、ラジオの報道でもあったのですが、停電のため酪農が大打撃を受けていたそうで、乳製品も欠品していました。

大手乳業メーカーも工場を停止しているため、牛乳の供給が完全にストップしている状態です。
後で知ったのですが、乳牛は毎日絞らないと乳房炎という病気になってしまうため、停電になっても絞り続けなければいけないそうです。

しかし、
・絞る機械に電気が必要
・絞った牛乳を冷蔵保存するために電気が必要
・牛乳の受け入れ先の工場の稼動にも電気が必要

ということで、例え牧場で牛乳を搾ったとしても保存できず、受け入れ先も無く、廃棄するしかないという惨い現実が、今回の震災で突きつけられました。

徐々に電気が復旧

ラジオの報道でも各所で電気が復旧したとの報告がされていました。
自宅の周辺は、まだ電気が復旧していないようでしたが、大きい道路を挟んだ向こう側の地区は電気が復旧したとのことでした。

それから半日以上過ぎて、私の地区にも電気が戻ってきました。

部屋の窓から見える信号機に明かりが灯っていないことを確認して、がっかりすることを何度か繰り返し、今日もダメかなと思いつつ、仮眠を取っていました。

目を覚ましたのが17時半過ぎ、窓から見える信号機にはまだ明かりが灯っていませんでしたが、念のためブレイカーを上げてみます。

「あ、点いたっ!」

やっと電気が復旧した瞬間です。
この時ほど、電気のありがたみを感じ、電力会社の不眠不休の復旧作業に感謝したことはありませんでした。

しかし、ここで問題発生!!

部屋の照明に明かりが灯り、スマホやケータイの充電が可能になり、テレビも点くようになったのですが、地震の影響で室外アンテナが動いたか破損したか?
電波の状態がよくありませんでした。

テレビは点くのにチャンネルが認識しない、慌てて色々操作して、チャンネルの再設定を実行したら、すでに登録されているチャンネルがリセットされて、再設定も出来なくなってしまいました。

アパートのアンテナに問題があるなら、他の部屋でも同じようなことになっているかも?
と思いましたが、他の部屋の様子は問題なさそうに見えました。

ネットのつながりも悪かったので、もしかすると全体的に、発信する側の問題かな?
と思っていたら、どうやら電気が復旧してもテレビのチャンネルはすぐに復旧しないという情報が各所から寄せられていたようです。

テレビはいったん諦め、再びラジカセに電源ケーブルを挿し、ラジオの周波数を合わせます。

このタイミングになると、交通機関の復旧状況や営業しているガソリンスタンド、営業している銭湯などの情報が寄せられていました。

テレビについては翌朝チャンネルが復旧して、ようやくテレビから映像とともに情報を得ることが出来るようになりました。

母親は、テレビから流れてくる被災の状況を観て、こんなに酷かったんだと驚いていました。
結果として情報が入ってこなかったことで、逆に精神的ダメージが少なかったかもしれません。

被災者という立場を実際に経験して感じたこと

まだ、この記事を書いている時点でも、停電や断水が続いている地域があったり、避難生活を余儀なくされている方も多くいます。

そんな状況ですが、私の周りは少しずつ日常に戻っています。

仕事に関しては、ストップしていた案件などが山積みで、まだ捌ききれていない状況ですが、ほぼ日常に戻っています。

コンビニやスーパーは、まだ完全に商品が揃っていないものがありますが、おおむね戻ってきています。

札幌では、延期となっていたオータムフェストもスタートしました。

ただ、家族含め、私は震災以降、軽いめまいや頭痛、倦怠感に襲われて、体調を崩していました。
被災者がその後体調不良を訴えるケースはニュースなどで見聞きしていましたが、実際に自分がそうなるとは予想もしていませんでした。

そこに仕事の忙殺もあって、メンタルが弱っており、他のブログもしばらくお休みしていたのですが、ようやく落ち着きを取り戻してきました。

個人的には、ペットロス、親戚の不幸、台風21号、地震と立て続けに起こって、心休まる余裕が、2ヶ月近く続いていました。

もう少し余裕が出来たら、こちらのブログも色々と再開していきたいと思います。

ここまで、長々とお付き合いいただきありがとうございました。



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