昨年、2022年8月17日に老衰による心不全で天寿を全うした日本の最強マイラー「タイキシャトル」についてお話したいと思います。
ウマ娘プリティーダービーでも登場し、競馬ファンだけでなく、アニメやゲームのファンからも愛されていた名馬です。
現役当時は、憎たらしいくらい強かったのですが、タイキの冠名を持つ馬が何となく好きだったので、馬券的には面白くないけど応援していた競走馬です。
今では一番好きな名馬の一頭として、いつも挙げています。
そんなタイキシャトルについて、これまでの戦績やエピソード、思い出などを語っていきたいと思います。
タイキシャトルの戦績
1997年4月という少し遅咲きのデビューでした。
ウマ娘のゲーム内で1コマ漫画があるのですが、そこでのタイキシャトルは「スズカの方がゲート広いデース!」と暴れていますが、ゲート試験に落ちたためデビューが遅れたそうです。
アメリカ生まれのため、クラシック戦線には参戦できず、マイル短距離路線に進んでいきます。
デビュー戦から岡部幸雄騎手が主戦ジョッキーとなって、3連勝を飾ります。
4戦目の菩提樹ステークスで2着に敗れますが、その後は引退するまで無敗で現役を終えています!
引退は、1998年12月のスプリンターズステークスで、実働はおよそ2年足らずでした。
当時は、早く引退させて若くて元気なうちに種牡馬として活躍してもらうというのが主流だったのですが、それにしても早すぎるよ!と思っていました。
主な勝ち鞍は…
- 1997年マイルCS
- 1997年スプリンターズS
- 1998年安田記念
- 1998年ジャック・ル・マロワ賞(フランス)
- 1998年マイルCS
海外も含めてG1を5勝し、1997年・1998年連続でJRA最優秀短距離馬、1998年には最優秀5歳上牡馬、年度代表馬を受賞。
中でも98年の年度代表馬は、短距離馬としては初の受賞となりました。
タイキシャトルの思い出
当時の思い出というのは、実はあまり覚えていなくて、「憎たらしいくらい強かった!」という記憶しか残っていませんでした。
たった2年で引退してしまったこともあったので、競走馬としての活躍自体も短距離だったという印象です。
当時は、競走馬のぬいぐるみも人気となっており、ゲーセンのクレーンゲームには必ずと言っていいほど、名馬のぬいぐるみが置いてありました。
しかも今のように1個1個じゃなくて、山積み状態で…
あまりにレースの記憶が喪失していたので、最近になって動画で観返してみました。
すでに色々なところで注目のレースを紹介していますが、個人的にオススメしたいレースについて改めて3レース紹介していきます。
1997年マイルCS
最初に紹介したいのは、G1初制覇のこのレースです。
当時からマイル短距離のレースが好きだったのですが、このレースの出走メンバーが凄くて凄いです。(語彙力低下)
アイルランドTを勝ち上がって勢いに乗っているトーヨーレインボー
まだ本格化前の4歳(当時)サイレンススズカ
この時、桜花賞1着、秋華賞2着の実績で乗り込んできたキョウエイマーチ
安田記念、毎日王冠ともに3着と安定感を見せていた武豊騎乗のスピードワールド
一昨年のスプリンターズSを制していたヒシアケボノ
95年の皐月賞馬にして前年の覇者ジェニュイン
前年のNHKマイルCを制していた1年先輩のタイキフォーチュン
他にも、オースミタイクーン、スギノハヤカゼ、マイネルマックス、エイシンガイモン、カネツクロスらが出走していました。
この時、岡部騎手はシンコウキングに騎乗していたため、タイキシャトルは横山典弘騎手に乗り替わっていました。
スタート直後、タイキフォーチュンが落馬してしまうアクシデント。
キョウエイマーチがハナを切って進み、2番手にサイレンススズカ、タイキシャトルは4、5番手を追走。
1番人気スピードワールドは後方からの展開。
最後の直線に入ると外からタイキシャトルが抜け出して逃げるキョウエイマーチをかわし1着でゴール!
キョウエイマーチが粘って2着入線、3着にはトーヨーレインボーが追い上げてきました。
道中は4番手あたりにつけ、最後は直線で抜け出しお手本のような強い勝ち方でした。
1998年安田記念
97年のマイルCSとスプリンターズSを連覇し、同年ユニコーンSから数えて5連勝中で迎えた1998年の安田記念。
タイキシャトルのメモリアルレース、ベストバウトを挙げるならこのレースを挙げる人も多いと思います。
しかし、この日は生憎の大雨で稀に見る不良馬場。
タイキシャトルがもし負けるとするなら、このような最悪のコンディションだけだろうと思われていました。
海外からの参戦、オリエンタルエクスプレス、アライドフォーシズ
サンデー四天王の一角、イシノサンデー
97年NHKマイルCを制したシーキングザパール
ダービー卿CTを制し、京王杯2着と調子を上げているブラックホーク
その他、ロイヤルスズカ、スピードワールド、オオスミタイクーン、ビコーペガサス、トーヨーレインボーらが出走。
スタートからエイシンバーリンがハナを切って飛び出すと、海外勢が2番手争い。
タイキシャトルは3、4番手あたりに控える。
この超不良馬場では前残りの可能性が高いので、先行争いも熾烈になっていました。
向正面では実況もよく見えていない様子で、隊列の確認にも声が詰まってしまうような状況。
最終コーナーを回って直線に向くと内外に大きく広がる展開になり、前を走るエイシンバーリン、オリエンタルエクスプレス、ロイヤルスズカらがまだ粘っている状態。
ラスト200mあたりから、外目を突いたタイキシャトルがグンと加速すると一気に抜け出して、追いすがるオリエンタルエクスプレスを寄せ付けずそのまま1着でゴール!!
近年稀に見る超不良馬場をものともせず、力強い走りで完勝してみせました。
これでヨーロッパの重たい馬場への適正も示すこととなり、フランス遠征が決定しました。
本当にこのレースで、憎たらしいほど強いと思い知らされましたね。
1998年ジャック・ル・マロワ賞
このレースもタイキシャトルを語る上で、外すことができないレースのひとつだと思います。
当時はこのレースの模様は観ることができなかったのですが、後から観てみるととんでもないレースだったと思いました。
日本ではあまり実施されていなかった直線のみのマイル(1600m)レース。
このレースの1週前には、シーキングザパールが欧州G1を日本馬として初制覇したばかりだったので、タイキシャトルにも期待がかかっていました。
とは言え、2週連続で日本馬が欧州G1を勝つわけないという声もあったと思います。
そんな中、最内枠のゲートから出走(直線レースの場合、外枠有利とも言われています)。
思い切った先行策で1、2番手で道中進んでいきます。
残り400mを切ったところで騎乗の岡部幸雄騎手のムチが入るとグイッと加速して、身体半分抜け出すとそのまま押し切って1着でゴール!!
シーキングザパールに続き、欧州G1を制覇しました。
このジャック・ル・マロワ賞は、これまで5頭の日本調教馬が出走していますが、優勝したのはタイキシャトルだけとなっています。
タイキシャトルの引退後
引退した当時の私は、引退馬についてはあまり知らない状態でした。
種牡馬としては、メイショウボーラー、ウインクリューガー、サマーウインドらのG1馬を輩出。
メイショウボーラーは後継種牡馬となっています。
種牡馬引退後は、引退馬協会に譲渡されヴェルサイユファームでメイショウドトウとともに余生を過ごしていました。
2021年には、ノーザンレイクに繋養先を移しており、「ドットさん」「シャトじいじ」の愛称でメイショウドトウと仲良く過ごしている様子が、YouTube動画でも度々紹介され人気となっていました。
ウマ娘の人気が爆発したこともあり、タイキシャトルの現役当時を知らない人からも愛されていた名馬ですが、2022年8月17日の早朝、馬房で静かに天寿を全うしました。
まとめ
芝・ダート、馬場状態、国内・海外問わず、力強い走りでファンを魅了した名馬です。
「最強マイラー、最強スプリンターはどの馬?」という企画になると、今でも必ず名前が挙がるほど強烈なインパクトを残してくれましたが、尾花栗毛と呼ばれる最も美しいと言われる毛色(たてがみや尻尾が黄金色に輝く栗毛)を持っていたこともあり、戦績だけでなくその容姿に魅了されたファンも多かったと思います。
性格は、繊細な一面があり調教なども気を使う必要があったそうですが、そのあたりもウマ娘のキャラクターに上手く反映されていますね。
実馬にはもう会うことは叶いませんが、タイキシャトルについて少しでも関心を持っていただけたらファンとしても嬉しく思います。